[News]東証、新市場区分への見直しを発表

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新市場区分とは?

東京証券取引所は、2020/02/21に、現在5つの市場区分(1部/2部/マザーズ/JASDAQ(スタンダード/グロース))を新しい3つの市場区分(プライム/スタンダード/グロース)に見直し、2021/4/4に再編すると発表しました。

なぜ市場区分を見直すのか?

東証の発表内容によると、

日本取引所グループは、現在の市場区分を明確なコンセプトに基づいて再編すること を通じて、上場会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支え、国内外の多様 な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供することにより、豊かな社 会の実現に貢献することを目的として、市場区分の見直しを行います。 

出典:新市場区分の概要等について

とあります。これは、以下の現在の日本の証券市場のいくつかの問題点の解消に向けてではないかとボクは推測します。

上場されている企業数、多すぎ!

東証1部の企業数は現在約2200社、1990年では1200社なのでおおよそ倍増。マザース、JASDAQも含めると、1990年では1752社だったものが、2020年では3756社となり倍増です。
<参考資料:上場会社数の推移

なぜ増えすぎたのか?

  • 上場基準の変更
    当初、東証1部へ上場するには「500億円以上」の時価総額が求められたが、2012年には「250億円以上」に引き下げられた。
  • 裏口上場?
    2020年10月までは、直接、東証1部に上場する場合は時価総額250億円必要なのに対して、マザースから東証1部へ市場変更する場合は、40億円の時価総額で変更することができる基準があり、「裏口上場」と揶揄される方法が存在した。

企業価値の低い企業、多すぎ!

  • 上場廃止基準が低い
    時価総額250億円の東証1部基準を満たさなくなった企業は約30%もあり、また約45%企業のPBR(株価純資産倍率)が解散価値とされる1倍を下回るなど、上場企業の質が低下。
  • TOPIX採用銘柄であることの弊害
    東証1部上場企業はすべてTOPIX(東証株価指数)に組み入れられるため、企業価値が低いにも拘らずTOPIX採用企業ということでファンドからの資金が入りやすく、実力以上に株価を高く維持することが可能。

新陳代謝が上がらない日本証券市場

米国市場のS&P500などは、米国の企業約2万6000社から流動性のある大型株から選抜された500銘柄で構成されていますが、TOPIX(東証株価指数)など企業価値の低い銘柄が多く含まれています。
つまりS&P500は、米国の選抜されたオールスターチーム、TOPIXは玉石混交(良いものと悪いものが混ざっている)のチームということになりますので、どちらが魅力ある株価指数であるかは明らかですね。

JPXの資料にも、流動性・流動性の乏しさについての記載がありますね。

https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf

今後の動き

各企業は、来年の施行に向けて、

  • 株式の持ち合いの解消し、浮動株率を上げる
  • 積極的な情報開示により、株価を上げる
  • 子会社を親会社に吸収し、企業価値を上げる

などの動きが出てくるものと思われます。

一斉移行にあたって上場維持基準に適合していない企業に対して「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出・開示することにより経過措置が適用されますが、魅力ある日本市場となっていくことを望みます。

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