大手証券会社、SMBC日興証券をめぐる相場操縦事件で、24日逮捕された副社長は、会社の自己資金で株を売買する部署の幹部らとともに都内の製薬会社の株式について6億円余りに相当する大量の買い注文を出していた疑いがあることが関係者への取材でわかりました。
東京地検特捜部は、株価を不正に買い支えることで会社の利益を確保しようとしていたとみて詳しい経緯を調べるものとみられます
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220325/k10013550301000.html
何が起きたのか？
”証券会社が上場企業の大株主や大口投資家などから保有株式をまとめて買い取り、他の投資家に転売する「ブロックトレード（＝ブロック取引）」と呼ばれる取引を巡り、複数の特定銘柄について、取引当日に自社の資金で大量の買い注文を繰り返し、不正に株価を維持した疑いが持たれている”ということなのですが、おそらく「金融商品取引法 第六章 有価証券の取引等に関する規制（相場操縦行為等の禁止）第百五十九条 三項」
３ 何人も、政令で定めるところに違反して、取引所金融商品市場における上場金融商品等又は店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもつて、一連の有価証券売買等又はその申込み、委託等若しくは受託等をしてはならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000025_20221101_502AC0000000033
の禁止行為にあたると判断されたのだと思います。つまり、
ある意図、目的を持って相場の操縦を行なった
ということですが、証券会社自身も証券の売買を通常行なっているので、この禁止事項に当たる意図、目的を持って売買を行なっていたかどうかが争点になるものだと思います。
ブロックトレードとは？
ここでその禁止行為にあたるトリガーとなった「ブロックトレード」ですが、これは何なのでしょうか？
上場企業の大株主や大口投資家などが保有株式を売却したい場合、それが大量であると市場に与える影響が大きくなり、株価が大きく下落する恐れがあるので、証券会社に依頼（ブロックオファー）を出すことがあります。
証券会社は、市場への影響を抑えるため、主に通常の立会取引ではなく、立会外取引で相対取引（直接、投資家に売買を行う）で取引します。
売主のメリット・デメリットは？
保有株式を売却したい売主側は、自ら売却するとそれを起因として株価が下落してしまう可能性があり、全ての株式を売却するまでに価値が下がって売却の予定額を大きく下回ってしまう懸念があります。
そこで証券会社に立会外取引により、下落のリスクを避けて売却できる可能性があり、また終値の価格が期待よりも低い場合、売却をキャンセルすることもできます（メリット）。
ただし、証券会社に一括して買い取ってもらうには、ある程度ディスカウントして買い取ってもらうためその率により、売却価格が低くならざる追えません（デメリット）。
証券会社のメリット・デメリット
証券会社は、通常売主から株式をディスカウントして買い取ります。そして投資家などの買主に対して売買執行日の終値から一定の率を割り引いた価格に設定して売却します。したがって、買取価格と売却価格との差額が証券会社の利益となります（メリット）。
ただし、市場が不利な方向に動いた場合、買い取った株式を上手く売却できなければ大きな損失となるリスクを負っています（デメリット）。
買主のメリット・デメリット
売買執行日の終値から一定の率を割り引いた価格に設定して売却されるため、市場で取得するよりも「割引価格」で買えることになります（メリット）。
ただし、売主が大量に売却するということは、将来の価格変動を示唆している場合があり、結果的に株式の価値が下がってしまう可能性もあります（デメリット）。
今回の容疑は？
証券会社のメリット・デメリットで述べたように、証券会社は、買取価格と売却価格の差額が大きいほど利益が大きくなります。従って、売却価格すなわち売買執行日の終値が高いほど差額が大きくなり、また買手にも売りやすいことになり、今回それを意図、目的として不正な「買い支え」が行われたのではないか？ということになります。
ブロックトレード自体は、不正なものではありませんが、それを利用して利益を多く取ろうとしたり、また売主の大量売却の予定情報などを利用した「インサイダー取引」となるような不正となる行為を発生させる危険性も含んでいるのではないでしょうか？
では、では♪
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